美学と耐久性が魅力の鉄器 その秘密を探る【南部鉄器】

南部鉄器 日本の伝統工芸

南部鉄器の魅力と歴史:日本の伝統工芸品を探る

南部鉄器は、岩手県の盛岡市と奥州市で作られる伝統的な鉄鋳物です。その歴史は17世紀中ごろに遡り、南部藩が茶の湯釜を作らせたことが起源とされています。今回は、南部鉄器の歴史とその特徴について詳しくご紹介します。

南部鉄器の歴史

盛岡の南部鉄器

盛岡の南部鉄器は、17世紀中ごろに盛岡藩主が京都から茶釜師を招き、茶の湯釜を作らせたのが始まりです。1659年には、初代小泉仁左衛門が京都から招かれ、城下町で湯釜を作り始めました。その後、3代目の小泉仁左衛門の時代に、茶の湯釜を小ぶりにした「南部鉄瓶」が開発され、湯沸かしの道具として広く親しまれるようになりました。

奥州(水沢)の南部鉄器

一方、奥州の南部鉄器は、平安時代末期に藤原清衡が滋賀から鋳物師を招き、鍋や釜、農機具などの生活用品を作らせたのが始まりです。寺社仏閣の部品や武器も製造されており、盛岡の製品に比べて大衆向けの日用品が中心でした。

南部鉄器の特徴

素材と製造方法

南部鉄器は、銑鉄(せんてつ)を主原料として作られます。製造は、デザインに基づいて鋳型を作るところから始まり、鋳物砂で内部に製品と同じ形の空洞を作り、1300~1500℃に溶かした鉄を流し込みます。冷えて固まった製品を鋳型から取り出し、研磨や着色などの仕上げをして完成します。

P sakthy, CC BY-SA 3.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0, ウィキメディア・コモンズ経由

機能性と美しさ

南部鉄器の特徴は、さびにくく長持ちすること、熱が均一に伝わること、保温性に優れていることなどです。鉄器ならではの重量と安定感、ざらりとした独特の風合いも相まって、素朴ながらの美しさも魅力となっています。特に鉄瓶は、職人によって様々な紋様が施され、表面がポコポコしたデザインのアラレ紋様が特徴的です。

現代の南部鉄器

現在では、カラフルな色使いでスタイリッシュなデザインの急須や、フライパン、鍋敷き、キャンドルスタンドなど、現代の暮らしにも取り入れやすい製品も作られています。南部鉄瓶で沸かしたお湯はまろやかな味になるとされ、中国茶などがおいしくなると言われており、国内外で人気があります。

南部鉄器は、その歴史と伝統を守りながらも、現代のニーズに合わせた製品を提供し続けています。これからもその魅力は多くの人々に愛され続けることでしょう。

南部鉄器の魅力に触れ、その歴史とともに大切に使い続けていきたいですね。


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